コロナウイルスが世界的に蔓延し、2020年夏の東京オリンピックの開催そのものが危ぶまれてきました。
過去に前例がない『オリンピックの中止・延期』。万が一実際になってしまった場合には、どれくらいの予算がかかるか考察してみました。
Contents
過去のオリンピックでかかった予算は?
北京オリンピック(2008年)
2008年の中国・北京オリンピック開催時には、初期予算で20億ドル強(約2160億円)が用意されていました。
実際に使われた内約は
- 会場建設・拡張費予算:130億元(約2050億円)
- 北京都市インフラ建設費:2800億元(約4兆4100億円)
合計すると、約5兆億という数字が!
しかし、『北京都市インフラ建設費』が純粋にオリンピックだけにかかった費用ではないため、中国サイドからは『実質の費用は4200憶円』と主張されていたようです。
ロンドンオリンピック(2012年)
イギリスのロンドンで開催されたオリンピック・パラリンピックでは、はじめ92億9800万ポンド(約1兆1830億円)の予算が用意されました。
その後、実際に使われた費用は89億2000万ポンド(約1兆1350億円)。イギリス政府が予算を3億7700万ポンド(約480億円)下回ったことを発表し、世界から高評価を受けたといいます。
リオデジャネイロオリンピック(2016年)
そして、比較的最近開催された2016年のブラジル・リオデジャネイロでのオリンピックです。
- 公共事業費:67憶ユーロ(約7900憶円)
- 組織委員会:20憶ユーロ(約2300憶円)
- 競技施設の建設と改修工事:19憶ユーロ(約2200憶円)
- 警備費:8憶ユーロ(約940憶円)
日本円に直すと、約1兆3340憶円の費用がかかった計算になります。この時の五輪競技部門の予算は41憶ドルで、内8割は民間の資金で賄われたといいます。
東京オリンピックの中止・延期にかかる予算は?
では、2020年東京オリンピックの場合、どの程度の予算がかかるのでしょうか。
当初の『東京五輪2020』でかかると言われていた予算は7000億円。中国からは『予算が少ない』『日本はケチだ』などのバッシングも一部あったものの、世界一コンパクトなオリンピックを実現させれば可能だと言われていました。
しかし、細かい予算編成を見直したところ、3兆円を超える可能性が浮上してしまったのです。
これに関しては、東京近辺のみでの開催が難しくなり、北海道他全国で競技ごとに場所が散らばったこと、近年の夏の猛暑対策のためにミストシャワーや打ち水、大量の日傘が必要になったことなど、様々な事情が含まれていそうですね。
また、今回の場合は『コロナウイルスが原因で安全に開催できない』可能性が第一の不安要素。
実は、オリンピックを開催するにあたり『開催都市契約の解除条件』という決まりがあり、安全に開催できないと判断された場合には、IOCの独断でオリンピックを中止にできるというのです。
また、2020年中に開催されなければ開催都市の『契約解除』とみなされ、補償・損害賠償の権利まで放棄されてしまいます。
(画像元は、BSの番組で3月上旬に放送されたものです。)
つまり、約3兆円超えの予算に保険が一切効かない状態。
中止の場合は3兆円超えの赤字だけが日本に残り、延期の場合は人件費・競技会場費・ホテル代諸々…追加で同額(約3兆円)程度の予算が必要になるでしょう。
終わりに
いかがでしたか?
数字を算出してみたら、想像以上の地獄絵図で冷や汗ものでしたね…。
今回のコロナウイルス対策で、小学生~高校生の登校自粛が発表され「対応が大げさだ」なんて声も聞かれましたが、元をたどると『オリンピックを開催させないと莫大な負債がかかる』ことを見越しての対応だったのかもしれません。
コロナウイルス、一刻も早い収束を願っています。